日常の中に少しの特別を

コラム

ハクセンではどの時間帯もお食事をお出ししていません。お店を始めた頃によくお客さまから、カフェなのに、ランチを出していないなんて!と、驚かれていました。なぜかというとハクセンでは、お茶の時間を楽しんで頂きたいから。大げさだけど、お茶の時間というものが人生に与えてくれるものの大切さを信じています。そこには小さくても確かな幸せがあるはず。少し立ち止まって、大きく息をつく時間を持つだけで、心や体が少し軽くなるように。人が人のことを思って、手間をかけて丁寧に作ったものには力が宿ります。コーヒーも、お茶も、お菓子も、空間も、真摯に丁寧に作られたもの、自分たちでじっくり考えながら作っているものを用意しています。そこで静かな時間を過ごすことで、新しい自分に出会えるのかもしれません。そう考えると、カフェと本とはよく似ている、そんなふうに思います。用意された空間で、一杯のコーヒーと、ちょっとしたお菓子とを楽しみながら、日常の些末なことは忘れて少しぼーっと過ごしてみる。あるいは、本を片手に、しばらく読むともなしにぱらぱらとページを繰ってみる。それとも、いつも顔を合わせている人とのなんでもないおしゃべりの中に何か新しいものがうまれることがあるかもしれない。人は「なにか面白いこと」に出会えるかもしれないと思って、お店のドアを開きます。その「何か面白いこと」というのは、結局は人やお店が与えてくれるのではなく、自分の中にある何かを発見することなのではないかな。素敵な服に出会いたいのではなく、素敵な服を着た新しい自分に出会いたいのでしょう。ハクセンはいつもそういう場でありたいと考えています。みんなでわいわいもいいけれど、自分と過ごす静かな時間もいいものです。ちなみに、一緒に働くスタッフの募集もまだまだ継続中です。

kaori

 

« »