コラム

heimaの夏の夢

コラム 雑記

heima、企画の段階では、どうなるかな、ちゃんとやれるのかな、
これだけ車移動が主流の地域で昼間からワインのイベントが成り立つのかしら、
なんてひそかにちょっとだけやきもきしていましたが、
楽しむ気満々でこぞっていらしてくださった地元のお客さま、
遠方から宿泊予定で来てくださったたくさんの方々、
みなさんにいい雰囲気を作っていただいて本当にうれしかったです。

ワインボトルを片手にワインとheimaのお話を語る明日香さん、
立ち姿がしびれるほど格好よかった。
美しいお菓子を用意してくださった佳子さん、
そこにいるだけで空間がどんどん透き通っていくようでした。

すべてを曖昧に、美しい夢を見せてくれるワインと
一口食べただけで、心がほどけてゆく優しいお菓子。

さて、夢の時間はあっというまに過ぎて、また現実に戻るわけです。
魅力的な人たちに囲まれた、あまりに楽しい夢だったので、
まだ足元がふわふわしています。
本を読んでいて、映画を見ていて、
お話の登場人物にうっかり恋をしてしまった、なんだかそんな気分です。
大好きな人たちがそれぞれの場所へ帰っていき、
淋しい気持ちも大きいけれど、
私は地味で地道な現実のほうも大好きです。
胸の中の小さな家はまたそっと胸の中にしまって。
“目に見えないものと同じくらい、目に見えるものが好きだ”
そうやって堂々と生きていたい。
また戻ってきてくれるのを、いつもこの場所で待っています。

kaori

 

 

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heima

お知らせ コラム

久しぶりに、やっとHPを開いています。

昼間は夏休みらしく日々の業務で精一杯、

夜は娘を寝かしつけながらの寝落ち…が続き、やっと!

忙しいのはとてもありがたくうれしいことですが、

イベントや何かちょっと新しいことを、という時に少し

余力というか、隙間のようなものがないとなかなか難しいものですね。

 

さて、インスタでもこじまさんが告知していますが、

8/11(金・山の日)はハクセンでheimaです。

なんとも魅力的なイベントなのですぐにいっぱいになってしまうのではと、

告知はさらりとさせていただいていましたが、

まだもう少し、お席に余裕がございます。

16時の会は残りわずか、12時、14時の会はまだ大丈夫です。

【追:8/4現在、16時の会は満席御礼、14時の会が残りわずか、

12時の会にはまだ少々お席がご用意できます。】

なかなかこんな贅沢な時間が過ごせる機会はありません。

なにか理由をつけて(今年の梅雨から続く夏の蒸し暑さはひどかった、とか、

子どもばかりが夏休みでずるいんじゃないか、とか)、

自分を労う時間にしていただけるといいなぁと思います。

 

foodremediesの佳子さんのお菓子は、その名の通り

お菓子で人を癒すことができればという想いから。

お菓子作りに従事するものとしてはもちろんfoodremediesのお名前はよく知っていて、

一度食べてみたいなぁと憧れているお菓子のひとつでした。

こちらから一方的にではありますが、お菓子作りへ向けられている想いや考え方が

とても近いような気がしています。

 

東京で活躍されているワインスタイリストの大野明日香さんが春に来店くださり

その時にheimaのお話を聞いて、foodremediesの佳子さんが来てくれるだなんて!

なんてうれしい!と思ったものの大野さんとのユニットのheimaって、

さて、どんなものなんだろう、と。

お話を聞いていくうちに、お2人がheimaを始めるきっかけとなった映画というのをお聞きして、

後日それを観たのですが、それがすごく、すごく好きだったのです。

これをいいと言える人たちとなら共感できる、

いいイベントになるんじゃないかな、と思ったのでした。

 

その映画は、アイスランドの荒涼とした自然の風景を舞台にした、

胸にぐっとささるような、でもとてもやさしくあたたかい気持ちにつつまれる作品でした。

田舎や自然の中での生活や伝統的な暮らし方って何ものにも代えがたくすばらしいけれど、

でもそれだけじゃない厳しさや、現実をつきつけられる瞬間って、あるのです。

できることなら故郷に住み続けていたいけど、どうしてもそれができなかった、

そういう人たちって、昔からたくさんたくさんいたのだろうなぁ。きっと今も。

そんなことのすべて、いろんなことを考えさせてくれる映画でした。

でも、いつも広々とした自然の風景のすばらしさは力をくれます。

“帰りたい風景”と私は心の中で呼んでいるのだけど、

鳥取の、山陰の広い空のあるなにげない風景の中には、帰りたい、と思わせる強さを感じます。

私自身、家族を説得してここに戻ってきたのは今考えてみると

子どもの頃の日常の風景の記憶がとても大きいと思うのです。

 

heimaをどうしてもここでやりたい、そう言ってくれたお二人の気持ちが

わかるような気がします。

heimaはアイスランドの言葉で家という意味。

帰りたい気持ち、実際には帰らなくとも帰る場所があるというその存在自体が、

人に、力をくれるのでしょう。

もしかすると鳥取に帰省して来られている方にもぴったりのイベントかもしれませんね。

 

また色々書いてしまいましたが、構えずお気軽に参加してみてもらいたいです。

普段は感じられない世界観を体験してもらえるのではないかと思います。

故郷でなくても、ここが好き、と思ってくれている方ならどなたでも。

遠くから近くから、ぜひお越しいただきたいです。

ハクセンの近くにはゲストハウス「たみ」もありますし、

風情のある温泉旅館もいくつかあります。

 

夏の昼下がり、こんな時間から飲んじゃっていいのかなぁなんて思いながら、

それが大人の夏休み、みなさんに楽しんでもらえるとうれしいです!

 

ちなみに。すごく行きたいけど予定が合わない!という方、

8/6(日)には蒜山耕藝の「くど」にて

15:00〜19:00 でheimaのお二人がいらっしゃいます。

先日伺ったくどのオカズデザインごはん、タルマーリーのビールとともに、

今思い出しても、はぁ、いい時間でした。

蒜山のheima、おおらかにゆるゆると、夕ぐれの蒜山を楽しむ。

こちらもおすすめです。

 

kaori

 

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燈と音の、魔法の時間

お知らせ コラム

世の中には特別な魔法のかかった食べ物がいくつか存在する、そんな気がします。

たとえばコーヒーもそう。チョコレートや、お茶やワインなんかも。

お菓子というのはみんなそうかもしれません。

それを口にすることで、ふっと心をどこかに連れて行ってくれるような感覚だったり、

ひとときこの世の雑事をすべて忘れて、ただただこの時にひたらせてくれるような、

そんなひそやかで幸せな魔法が。

そういう経験ってきっと、誰にでもあることなんじゃないかなと思うのです。

 

音楽や絵画、文学にもそんな不思議な力があります。

数年前のこと、その頃に住んでいた家の2軒となりにSHOZO音楽室という名の

町のイベントスペースができました。

そこでライブがあるたびにワクワクしながら通っていたのですが、

中でも強く心に残っているのが、ランテルナムジカの公演でした。

そこでランテルナムジカを見たとき、

たちまち私は、心地よい陶酔とともにランテルナムジカの世界に引き込まれていました。

幻燈と音楽が奏でる、数々の小さな物語のその世界に。

優れた芸術には人の心を解き放つ力があるのですね。

自分の中の気が付かないような場所に置き去りにされていたなにかが、

その時に、ぐぐーっとひっぱりだされたような心持ちでした。

そしてそれは時間をかけて少しずつ、ほどけてとけていきました。

人生ではときたまこんなことが起こります。魔法的に。

 

さて、私の話はこのくらいにしておいて、ランテルナムジカの魔法の時間、

なんと言ってもとても楽しく、きっとみなさんそれぞれにすばらしい時間を

過ごしていただけると思います。

 

もう本当にすばらしいんです!ぜひ!と店頭でお伝えしてはいるのですが、

具体的にはどんな公演なの?幻燈って何?という質問もいただきました。

確かにすすめる側としては、わかりやすく伝えることってとても大事ですね。

主催の熊谷さんに助けてもらいつつ、長くなりますがちょっと説明させていただきます。

お付き合いいただけるとうれしいです。

 

まずはランテルナムジカとは、音楽家のトウヤマタケオさんと画家のnakabanさん二人のユニットです。

トウヤマタケオさんの音楽と画家のnakabanさんの映像で、光を奏でます。

 

nakabanさんがその場で絵を描いていきながら壁に投影し、

音楽にあわせて動いたり光ったり。

自分の半径30センチ以内にある、たとえばビー玉とか絵の具とかを、

nakabanさんがライトボックスに乗せて大きく投影することで、

今まで見たことのない映像に出会うことができます。

 

幻燈とは、マジックランタン。

幻燈(マジック・ランタン)は、いまから300年以上前に発明された、

現在のプロジェクターの原型である投影装置です。

ガラス製のスライドに描かれた絵や写真をレンズによって拡大、投影する装置で、

光源にはろうそくやランプ、後にはガス灯や電燈が用いられました。

スライドを切り替えながら投影する幻燈のイメージは

現在のスライドプロジェクターやパワーポイント、

紙芝居やアニメーションの原型であるとも言われています。

 

音楽との化学変化によりイメージが跳躍し、まさに魔法のような夜になると思います。

とのこと。

 

そう、魔法のような。

魔法とか、夢とか、子どもはみんなきっと大好きだと思います。

大人だって、誰でも昔は子どもだったわけですし、ね。

 

ランテルナムジカがこの町に来てくれるなんて!

とても幸運なことだと思います。

水辺の風景を含めたハクセンの空間とどのようにとけあうのかも楽しみの一つ。

すてきな時間をみなさんと共有できたら、これほど嬉しいことはありません。

またとない機会、どうぞ早めのご予約をおすすめします。

 

『ハクセン』という名まえ

コラム 白線文庫

『ハクセン』という名の由来を、白線文庫のころからよく聞かれていました。

その度に、敬愛していた祖父の会社の名前を引き継いで、という話をしていたのですが、

実は『白線』の名には私の考えた意味ものせています。

 

「余白」の「白」と、「優美な線」の「線」。

どちらも、白線文庫を準備している頃に読んだ本の中で見つけたものです。

 

「余白」については、武満徹さんの本の中から。

“想像力を刺激する、行間や余白”

「白」が「余白」であるということは、はじめから決まっていました。

そして本の中で見つけた文章で「想像力」とつながったときに、

「そうそう!」と膝をうち、しみじみと深く共感したのでした。

ハクセンでは、何をするにも余白の部分をとても大事にしています。

日本古来の侘び寂びの美意識ともつながる、想像の余白。

 

「優美な線」は、串田孫一さんの本のカバーのそでのところに書いてあった、

“優美な線を描くように生きて行きたまえ”

この言葉を一目見て、これだ、と思ったのが今でも鮮やかに思い出されます。

優美な線を描くように生きる、簡単に言えば、

のびのびと生きる、ということなのかなと今では思っています。

自分の内からわき上がる、心から望んだことをして

周りの人たちとそのよろこびを共有し、

のびのびと生きている様子はきっととても美しいものです。

それが優美な線。

 

本は人の想像力を引き出し、誰もがのびのびと生きるための助けをしてくれる。

経験から、そう実感しています。

そして、『白線文庫』から『HAKUSEN』になり仲間が増えた今も、

同じ想いでいつもお店を磨いています。

 

kaori

 

 

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うちはうち、よそはよそ

コラム

先日の、BEAU PAYSAGE の会。

山陰の冬には珍しく、ぱきっと朝から、ずーっと快晴。

雨や曇りの日の霧がかった白い世界もそれはそれは美しいのだけど、

たくさんの人の集まる宴の席にはうってつけの終始気持ちよく晴れた一日でした。

 

ハクセンにとっては、始まって以来の大きなイベントの一つ。

関わる人の数と多様性を考えると、今までに類を見ないイベントでした。

お客さんもスタッフもみなさんそれぞれに

いい時間を過ごしていただけたのではないかと思います。

BEAU PAYSAGEという、あるがままの自然をそのままに映しとり

表現することを志したひとつのワインを真ん中に置いて、

きっとそれぞれがそれぞれに、感じることもあったのではないかな。

中には今は気付いていなくても、何かの拍子にふっとこの時のことが

思い出されるということも、もしかするとあるかもしれません。

それはその人それぞれにゆだねたいなと思います。

ハクセンにとっては、たくさんのことを学ばせていただいた実り多い会でした。

関わってくださったすべてのみなさんに感謝しています。

 

さて、お話はまだ少し長くなりそうです。

早いもので、新しい年の足音がすぐそこまで。

思えば、今年のはじまりのこじまさんの夜長書き初め、

「うちはうち、よそはよそ」に始まり、

夏の参議院選挙の時に感じた、「世界に多様な人が存在し、

その多様性を認めあえる社会になっていくように」という強い気持ち。

そして、BEAU PAYSAGEのイベントに終わろうとしている2016年。

多様性というものを強く意識した一年だったなぁと思います。

思い返すと数年前までの栃木にいた時の私たちは、

あの小さくも大きな閉じた世界の中で守られていて、

ぬくぬくと、まるで母親の胎内にいるかのような

あたたかく幸せな時を過ごしていたような、そんな気がしています。

そして、厳しい厳しい、産みの苦しみを味わい、

自分たちの足で歩くことを、“自分の名前でいる”ということをはじめました。

文字通り荒波にもまれながら(嵐の日のハクセンは、まるで難破船)、

ありのままの私たちでいるってどういうことだろうということを

試行錯誤、感じるままに表現しながら考え続けています。

そして二年目の今年は仕事を通じて本当にいろんな方々と関わらせていただきました。

いろんな方と関わることでまた自分たちの個性がよりくっきりと

浮かび上がってくるように感じています。

夫婦二人きりで始めたお店でしたが、12月からは新しく一緒に働いてくれる仲間もできました。

今まで以上に多様性というものを強く意識した一年、さて来年はどんな年になるのかな。

こじまさん、いよいよ厄年!

私は後厄が終わる!

 

なんだか一年の締めくくりのような文章になってしまいましたが、

まだまだ年末までしっかり営業しています。

クグロフのご予約もたくさんいただきありがとうございます!

焼き菓子のギフト製作も増えてきて、忙しくも嬉しい毎日です。

鋭意製作中、どうぞお楽しみにお待ちください。

 

kaori

 

 

 

 

 

 

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